『腐女子、うっかりゲイに告る』5話までの感想

1話の後見れていなかったのですが、2話から5話を一気見してあまりにも感情が湧きすぎるので整理して文章化しようと思いました。感想と少しの自分語り。

また、ネットで感想を探っていると、地雷っぽいとか当事者だから見る気がおきないっていう意見を見たので、是非当事者にこそ見て欲しいというおすすめの気持ちを込めてこの記事を書いています。

以下ネタバレあり。

純くんの飛び降り、それに至るまでの気持ちについて

何のために生まれてきたのか、生まれなかったらよかった、と純くんと同じことをずっと思い続けてきて、未だに思っている。よくわかる。

生産性がないのなんて政治家に言われるまでもなくわかっていて、毎月生理の度にどうせ子どもなんか産まないのになあ…と思う。

それでも、生物としての生産性には欠けていたとしても、生物としての生殖という生産性だけが人間としての生産性ではないと信じたいから私はまだ生きている。生産性がないのなら早いところ死んだほうがましなのでは?と自問しながら生きている。

QUEENがこのドラマでは象徴的に取り上げられている。まさにそのQUEENのKeep yourself aliveとDon't try suicideに励まされて生きている私は、純くんが自ら命を絶つ選択をしたことを少し怒りたかった。お前QUEEN聞いてるのに何のメッセージも受け取ってないな???!!フレディがあれほど死に急ぐなって言ってるのに!!英語勉強しろ。

そこはまあいい。死にたい気持ち自体はわかる。

純くんの飛び降りがとても心に刺さったのは、彼のゲイとしての悩みや叫びにとても共感できたからだけではない。純くんの周り、すなわち三浦さんや亮平の立場にもなったことがあるからだ。

小学生の頃からの友達を、大学のときに亡くした。一つ年下の彼も高校生で、自ら飛び降りた。

今でも理由はわからない。

ただ、私にわかるのは残された方のやりきれないほどの虚無感。純くんと違って理由も言わずに死んでしまったからというのもあるが、まだ高校生で死ぬと思っていなかった人の突然の訃報というのは老衰した高齢者が亡くなるのとはわけが違う。

この気持ちを周りに味合わせたらだめだよ、純くん。

幸い生きていたみたいなので、QUEENが歌った 'Don't try suicide you just gonna hate it' というのを実感してほしい。

周りのキャラクターについて

小野の「時代とか、なりたくてなったんじゃないとか、病気じゃないとか関係ない。問題は俺たちがどう思うかだろ」っていうの、間違ってはいない。

そうなんだけどね、でも生まれてきた以上私たちは死ぬまで生きるしかなくて、大多数の人に気持ち悪いと思われながら生きるのはつらい。それこそ死んだほうがましだ。

気持ち悪いと思うなとは絶対に言えないし、仕方ないのかもしれない。でもそれを口に出して人を傷つけるのは正しいだろうか。

「俺はそんなこと思ってない」って言える亮平は偉い。

でも小野も亮平もどちらも間違ってはいなくて、ただ人間には分かち合えないこともあるっていう話なのだと思う。

「それで私はどうしたらいいの?!」っていう三浦さんの気持ちもわかる。どうしようもない。

細々としたこと

・誰かにカムした次の日教室に入るのすごく躊躇うのわかる。ここまで演じられているのすごい。

・既婚ゲイっていう存在まで取り上げられてて、両サイドから爪弾きにされてることまで言及するのすごい。レズ界隈も一緒。人を騙してるわけだし、気持ちはわかるが。誠さんみたいにみんな色々思うところがあって生きてる。

まとめ

タイトルから若干の地雷臭がすることは否めないが、ゲイとしての悩みや葛藤がかなりリアルに描かれていたように感じた。共感できることがとても多い。ただのBLドラマではない。主人公だけでなく、周りの人物の心情もとてもリアルで考えさせられる。

生物としての生産性だけが人間としての生産性ではないけど、同性愛者であることで人間としての生産性が発揮できないと思われ、社会に必要のない存在であるということを感じさせられる。それが現代日本社会。

ゲイがいて、それを気持ち悪いと思う人ももちろんいて、そんなことはないと言える人もいて、ゲイをコンテンツとして楽しむ人もいて、大多数の人は何も言わない。あのクラスは日本社会の縮図に見えた。